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ナル麻衣SSに、intoxicationをUP。
麻衣ちゃん視点の、前話
「ナルの馬鹿ぁ」
三つ目のプルタブを引っ張って、あたしはグビッと中身を一気に呷った。
事の始まりは、あたしがナルの家に行きたいと言ったとき。
ドキドキと煩い心臓の音を聞きながら、返事を待つと了承の声がした。
嬉しさから頬が緩むけれど、まだ、続きがある。
「と、泊まってもいい……かな」
これは、ダメかもと恐る恐る尋ねるも、これまた、あっさり了承された。
あまりの呆気なさに、本当に聞いているのか不安にも思ったけれど、それでも、こちらの提案すべてを受け入れてくれた安心感に、抑えきれない笑みがこぼれる。
「パジャマ持って、泊まりに行くね」
そう言ったとき、ナルの目元が微かに笑ったのは覚えている。
三日前の出来事だった。
「はぁ~」
目の前に置かれている、カラフルな缶たちを眇める。
綾子の家で、お泊り会をしたときに、貰ったモノ。
「これ、可愛いね。綾子」
「新商品だから、買ってみたけれど、アタシには、お酒じゃなくてジュースね」
「そんなに、アルコール度数強くないの?」
「このくらいなら、麻衣でも飲めるわよ」
そう言われて、グラスに注がれたのは、キレイな水色。
「シュワシュワする」
「微炭酸だからよ」
本当に、ジュースみたい。
あたしでも飲める。
嬉しくて、フワフワした気持ちでグラスを空にする。
家飲み用として、綾子から、少しばかり缶を分けてもらった。
ナルの家で、飲んでみようと思って持ってきたのに。
一人寂しく飲むなんて思ってもみなかった。
「ご飯作って待ってるから、早く帰ってきてねって、言ったのに」
すでに冷めてしまっているオカズたちを見て、ため息をつく。
その言葉を告げたとき、ナルの目線は、パソコン画面を見ていたから、意識に残るほど聞いてはいなかったと考えるべきか。
「う~、ちゃんとバジャマ持ってきたのに」
待ちきれなくて、風呂にも入ってしまった。
でも、あたしが入っている間にナルが帰ってくるかもと、湯は張らず、サッとシャワーだけ済ませて、すぐに浴室を出た。
それから、ゆうに一時間。
この家の主は、未だ、帰宅せず。
「もう、この前の約束、忘れちゃったのかなぁ」
泊まりに行くねって、言ったのに。
今日はご飯を作るだけだと、思ってるのかも。
「あぁ、ヤダヤダ。暗くなる。もう、いい。寝てやる」
ドスドスと足音荒く、ナルの寝室に押し入る。
ベッドの、ど真ん中で寝てやるんだから。
それで、ナルが帰ってきたら、困ればいいんだ。
ボスッと音を立てて、持ち主の匂いが残るシーツに顔を埋めた。
本編では、書ききれなかったので、日記にて公開。
この麻衣ちゃんの状態から、あぁなったのだと理解していただけたら嬉しいです。